そのような段階を経て、この事業は新たなステージに入ってきており、いよいよこれからその所期の目的を果たしていく段階に至ったものと考えております。現在、
アイランドシティ整備事業では、
港づくりとしては平成15年9月に水深14メートル岸壁を持つ
国際コンテナターミナルが供用開始され、平成16年においては、
コンテナ取扱量が約21万TEUに達するなど、既にフル稼働の状態となっております。さらに、現在稼働中の水深14メートル岸壁に連続する水深15メートル岸壁を持つ
コンテナターミナルについての
国土交通省による調査も、いよいよ開始されると聞いております。
博多港は、我が国の
特定重要港湾としては、アジアと最も近接しており、背後には多くの
国際路線を有する空港、
広域幹線道路及び鉄道が集中するなど、恵まれた条件を有するとともに、
九州経済圏を初めとする大きなマーケットを抱えております。これらを最大限に活用した
国際物流拠点として世界水準の
国際コンテナターミナルなどの
港づくりを推進するため、先日、官、民、労一体となり、
スーパー中枢港湾指定に向けての取り組みも開始されたところであります。
一方、
まちづくりについては、中核となる
アイランドシティ中央公園の整備が推進されており、本年9月には
全国都市緑化フェアが開催され、各地から100万人を超える人々が訪れるものと予測されております。また、住宅地においては、
環境共生型の照葉の
まちづくりの整備が着々と進められており、本年度中には、市民の方々がここで生活を始められる予定であると聞いております。さらに、新たな産業の集積に関しましては、昨年度においては、
高齢者関連施設の公募を実施し、また本年度には
アジアビジネスゾーンの形成に向け、21
世紀中華街構想を日中共同で策定する予定など、
国内外企業の立地促進に向けて着実に進めているところであります。
このように、
アイランドシティ整備事業は、福岡市の将来にとって必要不可欠な事業であり、九州、西日本の住民の生活や
地域経済に大きく貢献する
国際コンテナターミナルの供用開始や、豊かな自然とも調和した先進的な住宅地の整備など、事業の成果が
あらわれてきております。したがいまして、これからは、大局的な視点に立ち、
アイランドシティを将来の九州、西日本のために、どのように活用し、
都市戦略の中に組み入れていくかを議論していくとともに、着実に事業を推進していくことが肝要であると考えます。また、これまでも事業の推進に当たっては、議会において慎重に審議してきたことなどから、このような段階で、改めて
事業継続の賛否を問うことは必要ないと考えます。
以上、申し述べましたとおり、本条例案について反対の意を表し、討論を終わります。(傍聴席で発言する者あり)
7 ◯議長(
川上義之) 傍聴の方に申し上げます。退場することもございますので、どうぞお静かに聞いてください。(傍聴席で発言する者あり)議長の命令に従わない方は、退場してもらうことがありますので、今度そういうことを言われましたら今の方は退場していただきます。(傍聴席で発言する者あり)退場。(傍聴席で発言する者あり)退場。(
傍聴人退場)議場は静粛に、皆さん、討論する場でございますので、御協力をよろしくお願いいたします。倉元達朗議員。
8 ◯39番(倉元達朗)登壇 私は、
日本共産党市議団を代表して、本
臨時議会に提案されている議案第197号、人工島
建設事業の継続について賛否を問う福岡市
住民投票条例案に賛成し、討論を行います。
本条例案は、人工島事業の継続について賛否を問う
住民投票の実施を定めるものであります。市民が
地方自治法の規定に従って8万4,015人の署名を集めて請求を行い、
選挙管理委員会の審査を経て要件の3.5倍の7万6,922人の有効署名をもって
条例制定の直接請求を行いました。これを受け、本
臨時議会が招集されたのであります。
本条例案に対し、
山崎市長は、人工島事業が本市の将来にとって必要不可欠だということ、市民に説明し意見を聞くなど
市民参加を図ってきたということ、議会で審議し議決を得て進めてきたことの3つの理由を挙げて、
住民投票条例を制定する必要がないとの意見を表明しました。
住民投票の実施を求めた我が党の
議案質疑に対しても拒否する答弁を行ったのであります。そこで、我が党が人工島
住民投票条例の制定に賛成する理由と、
市長意見に対する我が党の見解を明らかにしておきます。
その第1は、人工島事業を続ける必要性がないという問題です。
条例案は、その第1条で、「人工島事業の継続が福岡市の行財政と
市民生活に重大な影響を及ぼすことから、人工島
建設事業の継続について市民の意思を明らかにし、もって市政の民主的かつ健全な運営を図ることを目的とする。」と述べています。
当初の総事業費4,600億円、約401ヘクタールを
埋め立てる人工島事業は、着工後10年を経た現在、約半分の進捗率です。ところが、いまだもって人工島に何ができるのか全く見えず、実現性もないというのが実態であります。それでも市長は、何が何でも事業を継続しようとしています。
そこでまず、人工島東半分の
都市機能用地の必要性についてです。もともとあった九大移転と
学園研究都市計画がなくなり、1993年の
免許出願時は
サイエンスパークを核とした
まちづくりの計画でしたが、2002年の新
事業計画では大規模公園が導入され、
住宅用地と
産業用地へと変わってきました。このように
土地利用計画が転々と変わるのは必要性がないからにほかなりません。また、
博多港開発株式会社が2002年に1工区を竣功したものの、土地需要がなく、広大な土地が売れ残る事態となっており、さらに今回地震によって埋立地の危険性が露呈し地価下落も予想されていますが、
住宅用地も
産業用地も需要のない土地をこれ以上造成する必要はありません。それでも
埋め立てを続けるのは、銀行、ゼネコン、マリコンの利益保証にほかなりません。
2つ目に、人工島西半分の
港湾施設と
関連用地などについても、博多港の入港船舶の実績と傾向を見れば、これ以上の
港づくりの必要がないことは明白です。市長は3万トン以上の大型船が人工島に一度も着岸したことがないことを知らなかったと認めましたが、知らずに
埋め立てが必要だというのは無責任きわまりないものです。博多港に入港する
コンテナ船でふえているのは2万トン以下の小型船であり、大型船は減少しています。こうした状況で水深15メートルの航路と2つの岸壁をつくる必要はなく、全くの過剰投資であり、今ある埠頭の再整備などによる対応を考えることがまず必要であって、330億円もの国費の
むだ遣いはやめるべきであります。
3つ目に、人工島の
破綻救済に税金が投入されている問題です。巨額の
税金投入が市財政を圧迫し、
生活関連予算が一層削減されようとしています。そもそも計画当初、人工島事業は独立採算の事業であって税金は使いませんというのが市の説明でした。ところが市長は、この市民との約束を勝手に破り捨て、
博多港開発の
破綻救済に2,000億円を超す税金、公金を投入する新
事業計画を決めました。そして売れない土地の買い上げ、道路や下水道などインフラの
肩がわり整備、増資と緊急融資、住宅供給公社による土地購入など、これまでに337億円がつぎ込まれました。さらに今後、
用地購入や
鉄軌道導入、
市立病院統合移転、新
中華街構想など、少なくとも1,300億円の
税金投入が考えられるのであります。また、市工区は、新たに直轄化した5工区を含めて
埋立事業に今後1,238億円を投資する計画ですが、この借金を返済できる保証はなく、穴埋めとして税金、
公金投入は必至であります。本市の財政は、2兆6,800億円の借金を抱え、市民にそのツケが回されているのであります。その具体化が
市民負担増と
福祉切り捨ての
財政健全化プランです。これまでにも
敬老無料パスの縮小、
老人医療費助成制度の削減、
生活保護の
福祉見舞金廃止、国保料の
連続値上げ、教育予算の連続削減、
公立保育所民営化などを強行してきましたが、今年度から
家庭ごみ有料化や
下水道料金値上げ、
敬老金カットなど市民に犠牲が押しつけられようとしています。市民は税金を人工島にではなく、暮らし、福祉、教育の充実にこそ生かしてほしいと訴えているのであります。
4つ目に、人工島建設による
自然環境の破壊についてです。
1992年の
環境アセスメントでは多くの市民が反対意見を上げ、また
国際水禽湿地調査局や
世界自然保護基金日本委員会、
日本鳥類学会など国内外の
環境保護団体から
福岡市長に人工島中止を求める声明が出され、さらに12万人の人工島
計画見直しと博多湾の
ラムサール条約登録湿地への指定を求める請願署名が提出されましたが、ことごとく無視されました。当時の
福岡県知事は、重大な
環境影響を及ぼすと意見書を出したにもかかわらず、福岡市は
埋め立てを強行着工しました。そして、
山崎市長も事業を続け、博多湾の
自然環境、貴重な和白干潟は破壊され、水鳥は
事業開始前から1万羽以上も激減しました。まさに市民が心配していたとおりになったのであります。一層の
環境破壊が危惧される
埋立事業を続ける必要性はありません。
5つ目に、人工島事業をめぐる汚職
腐敗の問題です。
10億円の
むだ遣いと
利権あさりのケヤキ・
庭石事件は、数億円もの裏金が自民党の政治家に流れ、共謀した市幹部が謝礼を受け取っていたことが発覚し、裁判が続いていますが、事件の真相は解明されておりません。志岐元社長と西田元市議の被告2人が無罪を主張する状況に、市民の怒りは一層高まっています。こうした重大な汚職
腐敗についてまともな点検も調査もないまま、税金を食い物にする政官業の癒着を放置し、人工島事業を続けることは許されません。ケヤキ・
庭石事件は氷山の一角、人工島事業を続ければ第2、第3のケヤキ・
庭石事件が起きるとさえも指摘されています。この事件によって市民は、人工島事業に一層不信を募らせたのであります。
以上のように、市長の
方針どおり人工島事業を継続すれば、取り返しのつかない事態となるのは目に見えています。逆に中止すればどうなるか。質疑で原田議員が指摘したように、今後の
埋め立てなどにかかる市と国の事業費合わせて1,568億円を投資する必要はなくなります。国の補助金についても返還の必要がないことが明らかになりました。また、
破綻救済の1,300億円もの
税金投入も避けられます。そうすれば暮らしや福祉を充実し、被災者の
生活再建や防災対策のためにも税金を生かすことができるのであります。だからこそ、今、この人工島事業の継続について市民の意思を明らかにする必要があるのであります。
第2は、
住民投票の実施は必要ないとの市長の意見に道理も正当性もないことであります。
市長は、市民の意見を聞いて進めてきたと言いますが、大
規模事業点検でも
市政経営戦略プランの
パブリックコメントでも、市民の意見は聞くだけで何らの
計画変更も行っておりません。市民の意見は無視する一方で、銀行の要求に屈して新
事業計画の策定や
埋立事業の直轄化までしてきたのであります。こうした態度に市民の怒りの声が上がっていることを市長は認識すべきであります。
そもそも
山崎市長は、大
規模事業の見直しを公約して市長に就任したにもかかわらず、その公約に違反して人工島事業の継続を決め、今や全身全霊を傾けて事業を推進しているのであります。市民は7年前の
市長選挙で人工島中止の
意思表示をしたはずだったのに、それが裏切られたと感じているからこそ、
住民投票による
意思表示を強く求めているのであります。それを避けて
住民投票が必要ないというのは、人工島事業について市民の賛成を得られる自信がないということにほかなりません。
また、市長は、議会の議決を得て進めてきたとも説明していますが、問題はその議会が、人工島問題について市民の民意を反映しているのかということです。さきの選挙で人工島を推進する与党会派の一体どれだけの議員が人工島に対するみずからの立場を有権者に示して審判を仰いだのでしょうか。人工島問題に触れることを避けたのが実態です。そうした選挙の結果をもって、有権者が人工島推進を信任したとは決して言えないのであります。そして、議会の議決が市民の思いと食い違っているからこそ、
住民投票を実施してほしいという世論が大きく広がっているのであります。さらに、
住民投票は二者択一しかできないデメリットがあるなどと言いますが、市長が推進する
埋め立てや
破綻救済など人工島事業を続けることに対して、賛成か反対かの選択肢以外あり得ないのであります。
市長は昨日、
自治都市ということと
住民投票とは関係ないと驚くべき答弁をされました。このことは、市長が言う自治とは、
住民自治を認めないという
強権的政治姿勢の
あらわれであります。市民の意見も聞こうとしない市長なら辞めてもらいたいという声が上がっており、今後、市民の怒りと批判の世論が高まることになるでしょう。
第3は、今こそ、人工島事業に対する市民の意思を明らかにする
住民投票を行う必要があるということであります。
市長は昨日の答弁で、これまでの選挙で人工島事業が争点になっていたと述べられました。また、市民の大半が人工島に賛成しているとも言われました。しかし市民は、人工島事業が巨額の
税金投入によって推進されることについて賛否を表明したことはありません。市政の主権者である市民の民意を改めて確認する必要があります。
市民参加というなら
住民投票こそが最大の
市民参加です。
何よりも、8万4,000の直接
請求署名に代表される圧倒的多数の市民が
住民投票の実施を求めています。この市民の願いにこたえて
住民投票を実施するのが市長と議会の当然の責任であります。
住民投票の実施を求める市民は8万4,000にとどまらず、圧倒的な世論となっています。それは市長と
与党議員の支持者を含めて幅広く広がっています。昨日の本会議の傍聴に第2会場にも入りきれない300人もの市民が詰めかけたことも、
住民投票を求める世論の大きさを示すものです。この署名に込められた市民の願いの重みをどう受けとめるかという
政治姿勢が問われています。市民の願いにこたえて、
住民投票条例案を成立させ、
住民投票を早期に実施すべきであります。
第4に、
住民投票の実施が、福岡市における
住民自治と
民主主義の発展に大きく貢献することです。
住民投票は特にアメリカやドイツ、スイスなどで歴史が古く、住民の
自己決定手段として活発に実施されていますが、日本でも、1996年の新潟県巻町の
原発建設をめぐる
住民投票に始まり、97年、岐阜県御嵩町の
産廃処分場建設、沖縄県名護市の
基地建設、2000年の徳島市の
吉野川可動堰建設などで
住民投票が行われ、さらに
市町村合併をめぐる
住民投票を含めて全国350自治体で実施され、まさに時代の流れとなっております。2000年10月の
地方制度調査会の
地方分権時代の
住民自治制度のあり方及び
地方税財源の充実確保に関する答申は、複雑化した現代社会において、多様な住民のニーズをより適切に
地方公共団体の行政運営に反映させるためには、
代表民主制を補完する意味で、直接民主制的な手法を導入することも必要、
住民投票も、こうした観点から行われているものと考えられるが、住民が投票により、その意思を直接表明するという
住民投票の制度化の検討は、
住民自治の充実を図るという観点から、重要な課題であると述べています。
住民投票は、住民の切実な意思と要求を直接
地方政治に反映する上で有意義であり、憲法が保障する
地方自治の新しい発展であります。
言うまでもなく、市政は市民のためにあります。市民は納税者として、また主権者として、税金がどのように使われるのか知る権利があるし、賛否を
意思表示する資格があります。
自分たちのまちの大事なことは
自分たちで決めるという
住民投票の実施は、市民の
自治意識を高め、福岡市に新たな
民主主義を根づかせるのは間違いありません。今回の
条例制定の直接請求運動は、その重要な一歩を踏み出したものとして、
福岡市政の歴史に残るものであります。
最後に、1998年、住民が起こした人工島
事業公金支出差しとめ請求の地裁判決は、福岡市が市民の意見に真摯に耳を傾ける姿勢に欠ける嫌いがなかったとは言えないのである、
本件整備事業を抜本的に見直すということさえ一つの政治的な決断と指摘しております。この際、この立場に立った人工島事業の
抜本的見直しが求められているのであります。しかるに、委員長報告のとおり、昨日の第3委員会で、自民党、公明党、みらい福岡並びに民主・市民クラブが条例案に反対を表明しましたが、これは市民多数の世論を踏みにじるものであります。請求代表者が口頭陳述で述べられたことこそが市民の切なる願いであり、我が党は改めて
住民投票条例の制定を強く求めるものであります。
以上、人工島事業の継続の賛否を市民に問う
住民投票の実施を求め、条例の制定に賛成する理由を述べてきましたが、市長と与党会派が
住民投票条例案を否決したとしても、8万4,000の署名に込められた市民の願いを消し去ることはできないのであり、一層世論が高まることを確信して、我が党の賛成討論を終わるものであります。
9 ◯議長(
川上義之) 笠康雄議員。
10 ◯18番(笠 康雄)登壇 私は、みらい福岡を代表いたしまして、本会議に提案されております、人工島
建設事業の継続についての賛否を問う福岡市
住民投票条例について、原案に反対の意を表し、討論を行うものであります。
本市は、悠久の時代から大陸の窓口として、港とともに成長を続けてきた都市であります。また、現在、博多港は、
市民生活や九州、西日本の経済を支える港として、アジア諸国の台頭など、国際的な港の競争が激化していく中、その港湾機能の充実強化が重要な課題となっております。
アイランドシティの
港づくりについては、
国際コンテナターミナルの供用開始や、上海~博多間の定期高速貨物船の就航など着実な取り組みが行われ、その結果、平成16年においては、国際
コンテナ取扱量が61万TEUを超え、過去の最高を更新し、また、60万人を超える日本一の外国航路乗降人員を記録しております。
また、
まちづくりについても、幹線道路や公園緑地の整備など、まちの骨格となる都市基盤の整備も着実に進んできており、本年秋から住宅への入居も予定されております。また、これとあわせて、
まちづくりの起爆剤ともなる
全国都市緑化フェアが開催されます。このように、事業が着実に進んでいる中、昨年度末には、市が第2工区を譲り受けるという大きな事業スキームの転換を行い、今後の安定的な事業推進のため、一歩を踏み出したところであります。
我々みらい福岡といたしましても、
アイランドシティについては、平成元年の港湾計画で島形式に
計画変更されたことも含め、長い間、慎重に議論を重ねてきたところでありますが、
アイランドシティの
港づくり、
まちづくりがここまで進んできている時期にあって、この時期に改めて
事業継続の賛否を問う必要はないと考えます。むしろ、これから
アイランドシティをどうしていくのか、福岡市の
都市戦略を展開する場としてどう活用していくのか、建設的な論議を進めていくべきであり、将来ビジョンをしっかりと持つとともに、事業について、よりわかりやすく発信していくことが重要であると考えます。
本市においては、先般予想だにしなかった震災により、大きな被害をこうむっております。まずはこの災害の復旧、復興に全力をもって取り組むことが本市にとって当面の最重要課題であります。しかしながら、このような苦しい時期にこそ、本市が将来飛躍していくための
都市戦略、いわゆるグランドデザインを描き、市民の皆様にそれを提案していくことが重要であると考えます。私は、これからの本市の
都市戦略は、西に知の拠点としての九州大学学術研究都市、東には物流拠点としての
アイランドシティを位置づけ、これらが相まって、本市の
都市活力の源泉となるエンジンの役割を果たしていくと考えています。
アイランドシティは、やはり
港づくりが基本であります。まずは、本市の港とともに都市が成長してきた歴史を踏まえ、アジアのゲートウエイとしての役割を果たしていくため、長期的な展望に立って
港づくりを進めていくことが重要であると考えます。そのためには、14メートルと連続する15メートルの大水深バースの整備が急務であり、これに向けて積極的に取り組むべきであります。
ただ、
まちづくりに関しては、こども病院と市民病院の統合移転、小中連携教育校といったものが先行していますが、このことが
アイランドシティの可能性や必要性をわかりにくくしている大きな要因となっており、我々としても、今後、大いに議論をしていくべきであると考えます。とはいっても、既に土地としてでき上がっている地区について事業を進めていくことは重要であります。ただ、今回市が承継した残り半分の地区については、効率的な事業運営のあり方や、今後の
社会経済情勢等を踏まえながら、急ぐことなく、長期的な視点に立って検討を行っていくべきであると考えます。
アイランドシティについては、本市におけるさまざまな
都市戦略の解決を図り、都市機能の再配置を図る適地として活用すべきであり、全市的な観点から、本市の将来を見据えた検討が必要であると考えます。また、
アイランドシティばかりでなく、博多港全体の港湾計画を早急に策定する必要があるとも考えます。
最後に、我々は、この激動の時代にあって、市民の皆様から、本市行政について負託をいただいている立場としては、
アイランドシティに焦点を当てて議論するという近視眼的な発想ではなく、今後も福岡市全体の
都市戦略をどう考えていくかという大きな視点から、大局観をもって、議会で議論を深めていきたいと考えています。
以上、本条例案について反対の意を表し、討論を終わります。
11 ◯議長(
川上義之) 外井京子議員。
12 ◯34番(外井京子)登壇 ふくおかネットワークを代表し、本議会に提案されました議案第197号、人工島
建設事業の継続について賛否を問う福岡市
住民投票条例案に賛成の意を表し、討論を行います。
本条例案は、人工島事業については、今ここで改めて
住民投票によって、賛成の意見、反対の意見がどれくらいあるのか、市民の意見を直接聞いてほしいという市民の意思に基づいて提案された条例案です。また、直接請求に必要な署名数である2万2,000人の3倍以上の約8万4,000人、うち有効署名数7万6,922人の署名が集まりました。これは、人工島事業は博多湾の
自然環境の破壊につながることや、過大な港湾整備であること、本市の財政運営に長期間にわたって重大な影響を及ぼすことなど、将来に大きな禍根を残すことを危惧する市民が多く存在するということをあらわしています。人工島事業については、これほど大きな事業であるのに、2度にわたる
事業計画の見直しの際にも、市民に直接説明を行うことも、市民の意見を市政運営に反映させることも全く行われてきておらず、説明責任も果たされていません。
市長意見書では「市民のご理解を得ながら進めてきました。」と述べられていますが、人工島事業を継続することについて、本当に市民の理解を得られていると考えているのなら、
事業継続の賛否を問う
住民投票を実施できるはずです。また、
住民投票を実施するとなれば当然、事業の継続が必要だと考える方々は、その必要性を市民に訴え、事業の継続に賛成する市民をふやすための運動をし、一方、事業は継続すべきでないと考える人々は、
事業継続の悪影響を市民に訴え、そのことに賛同する市民をふやすための運動をすることになります。
市長は昨日、人工島事業は、福岡市のために重要であると信じている、と述べられました。しかし、市長と同じようには信じられない、という市民がたくさんおられるからこそ本条例案の制定が直接請求されたのではないでしょうか。だからこそ、きちんと市民の理解が得られるよう説明をした上で、
住民投票による審判を受けるべきであると考えます。
住民投票の投票権を持つ市民の皆さんは、1人1人が判断して投票されるわけであり、その結果こそが市民の意思を示すものであります。人工島事業は、まだ全部が竣功したわけではありません。外周護岸しかできていないところもあります。埋立面積の縮小など事業の見直しの方法は幾らでもあるではありませんか。市長には、
住民投票によって示された市民の選択、その選択がどのようなものであったとしても、その市民の選択の上に立って今後の市政運営方針を立て直し、それを遂行する責務があると考えます。
昨日の答弁で、
山崎市長は、
自治都市と
住民投票は関係ない、と言われました。昨日の第3委員会で、私はこの発言の真意をただしました。
自治都市と
住民投票は関係ない、と言うのなら、市政方針として掲げる
自治都市・福岡は誰が自治するという意味か、と尋ねたところ、総務企画局長は、コミュニティーレベルでの市民自治といったようなことを答弁されました。市民はコミュニティーレベルでの自治をやっておけばいい、
地方自治の主役は市長だ、と言っているようなものです。全く市民をばかにした施政方針であると言わざるを得ません。
条例制定を求める直接請求は、完全とは言えない間接民主制度を補完する仕組みとして市民に認められた権利です。行政と議会と市民との関係をどうつくっていくのかが問われている今議会において、
自治都市と
住民投票は関係ない、と市長が答弁されたことは大変重大です。
繰り返しますが、今回直接請求された条例案は、人工島事業の継続については、これまで議会で審議、議決してきたかもしれないが、改めて
住民投票によって、賛成の意見、反対の意見がどれくらいあるのか、市民の意見を直接聞いてほしいという市民の意思に基づいて提案された条例案です。人工島事業を継続することについて本当に市民の理解を得られているのなら、賛否を問う
住民投票を実施できるはずです。
住民投票という手法の導入は、市民の意見を問うものとして、今後の自治するまちにとっては必要なものです。
また、今回提案されている条例案は、
住民投票の資格者を、本市に在住する定住外国人も含めた18歳以上のものとするなど、市民自治を実現するための1つの手法としての
住民投票条例案として大変評価できるものであり、本条例を制定し、ぜひとも
住民投票を実施すべきと考えます。
さらに、今回の直接請求運動が始まったころには、だれも予期しなかったことですが、3月20日に福岡県西方沖地震が起こりました。この地震によって、人工島を初めとする埋立地の弱さがまさに露見しました。このことは今後の人工島事業に大きな影響をもたらすと考えます。
博多港開発2工区を直轄化しても、土地は熟度を増して処分単価が上昇し、将来的には採算が取れると説明されてきましたが、震災によって、埋立地への進出や住宅地の購入は控えようという企業や消費者の心理が働くことは必至です。そうなれば、当然のことながら建物には最新の耐震性が求められ、高度な防災体制の構築も求められます。人工島への進出には、これまでよりもコストがかかることは明白となりました。震災の影響で土地処分が予定どおりに進まず、
事業計画、収支計画の見直しを迫られることは明らかです。
人工島計画は、これまでも短期間に2度もの
事業計画の見直しをせざるを得ませんでした。このことは、社会経済状況の変化を十分に読み切れなかったということにほかなりません。その港湾局が、震災による事業
計画見直しは考えていないと言われても、それはまた甘い見通ししかできていないのではないか、としか市民には受け取れません。震災の影響も含め、今後の人工島事業について、市民に改めてその
事業計画、収支計画についてきちんと説明するべきではないでしょうか。その上で
住民投票を行えば、事業の継続について市民の理解を得られたかどうかがはっきりわかるわけです。
このところの人工島事業優先施策には目に余るものがあります。人工島だけを特別視して、人工島は環境にやさしいまちに、人工島の小学校には新しい教育スタイルを、人工島には最先端の医療施設をなど、最先端の技術と予算を人工島に集中させていこうとしています。しかし、震災によって、まず復興のための施策に最優先で予算をつけることが必要となりました。そして、次に必要なことは、まだ誰も住んでいない人工島の耐震や防災を優先するのではなく、既存地域のすべての公共施設の耐震補強であり、民間の建築物や住宅、ブロック塀なども含めた建造物を耐震補強するための助成制度などの予算化であり、本当に市民の命と生活と財産を守ることのできる防災対策の構築です。もとより大変厳しい本市の財政状況を、人工島優先から震災、防災対策優先へと切りかえることが今必要になっています。
昨日の答弁で、市長はこうも言われました。前向きに進めることで課題の解決をしていくと。しかし、市長の言われる前向きに進めるということが悪循環に陥っていることが明白であるからこそ、その悪循環をとめましょう、と多くの市民が言われているのではないでしょうか。また市長は、これだけ進んでいる段階で、賛成、反対だけでは決め得ない、とも言われました。しかし、ここまで進んでしまった段階、つまり399億円にも上る新たな借金をしてまで
博多港開発2工区を直轄化するという大きな
事業計画の見直しを強行した今だからこそ、また、震災によって
市民生活の根底を揺さぶられた今だからこそ、今後の本市の市政運営においては、何を重点事業とし、何に優先的に予算を配分する必要があるのかについて、納税者である市民の意見を聞く必要があります。
よって、本条例案を制定し、人工島事業の継続について市民の賛否を問う
住民投票を実施することに賛成であるとの意を表し、ふくおかネットワークの討論を終わります。
13 ◯議長(
川上義之) 黒子秀勇樹議員。
14 ◯43番(黒子秀勇樹)登壇 私は、公明党市議団を代表して、本議会に提案されている議案第197号、人工島
建設事業の継続について賛否を問う福岡市
住民投票条例案に反対し、討論を行います。
まず初めに、我が党は、
住民投票制度については否定するものではありませんが、人工島
建設事業の継続については、毎年度、議会において慎重に審議を重ねてきており、今年秋にはいよいよ照葉の
まちづくり住宅への入居が開始されると同時に、第22回全国都市緑化福岡フェアも開催されるという重要な時期に差しかかっています。また、二者択一で賛否を問うことの是非など、
住民投票のあり方についての指摘もあり、現時点で改めて
事業継続の賛否を問う必要はないものと考えます。
アイランドシティ整備事業は、平成元年に博多港港湾計画を改定して、和白干潟を保全する形の島形式へ変更し、事業をスタートさせました。港湾機能の強化、新しい産業の集積拠点の形成、快適な
都市空間の形成、東部地域の交通体制の整備という4つの目的を持った長期にわたる大規模な事業であり、当初計画で想定していなかった経済情勢の変化が起こりました。しかしながら、21世紀の福岡の
まちづくりにとっては非常に大切な事業であり、とりわけ、港の整備については全力で取り組むべき課題であります。
都市活力の源泉である港湾、物流機能を強化するとともに、小売、卸売業に特化した本市の経済構造を転換し、21世紀型の新産業を育成、振興していくことによって、より豊かな
市民生活を実現していくためにも成功させていかなければならないと考えています。
また、成長著しいアジアとのゲートウエーとして、大水深のバースや最新鋭の
コンテナターミナルの整備など、博多港の機能強化を図るとともに、新たに生まれる
都市空間を活用して先進的な
まちづくりや新産業の集積を進めるものであり、
地域経済の活性化に大きく貢献するとともに、アジアに向けた本市の
都市戦略上、重要な機能を担う事業であります。これまでの取り組みの結果、
国際コンテナターミナルの供用開始や住宅の整備推進等、既にその成果が確実に
あらわれてきており、これまでの事業投資を最大限に活用し、この事業の効果をさらに発揮させていくためには今後とも着実に事業を進めていく必要があります。
アイランドシティ整備事業をめぐっては、私どもは、さまざまな機会に市民の皆様の意見、要望に真摯に耳を傾け、説明も行ってきました。今後も市民の声を十分に聞き、慎重に審議を重ね、適切な判断をすることを決意して、反対討論を終わります。
15 ◯議長(
川上義之) 荒木龍昇議員。
16 ◯33番(荒木龍昇)登壇 私は、今議会、
臨時議会に上程された人工島
建設事業の継続について賛否を問う福岡市
住民投票条例案について賛成討論を行います。
この条例案は、
地方自治法第74条に基づき、有権者である市民約8万4,000人の署名をもって
条例制定を求めた条例案です。期間が1カ月間であること、受任者しか署名がとれないこと、受任者の選挙区内の市民しか署名できないこと、直筆による署名捺印を要すること、署名の日付が必要であること、など厳しい制限の中で集めたこの署名の意味は極めて重たいものです。この署名は大多数の市民が立場を超えて人工島事業に疑問を持っているあかしです。しかるに、多数の署名については真摯に受けとめると言いつつも、市長は漠然と、福岡市の将来に必要であること、市民の意見は聞いてきた、議会で議決を得てきたなどとして、
住民投票条例は必要ない、という意見を付したことは、市民の意思を踏みにじるもの以外の何ものでもありません。
加えて、昨日の質疑で市長が、
自治都市と
住民投票は関係ない、という答弁を行ったことは、市民自治そのものを否定するものであり、断じて許されるものではありません。市長は常々「市民とともに、市民のために」と語っていますが、市長が語る「市民とともに、市民のために」という中身は一体何を指しているのでしょうか。市長が条例案に付した意見、そして、
自治都市と
住民投票は関係ない、という認識は、「市民とともに、市民のために」という言葉を否定するものであり、市長は市民に謝罪するとともに、付した意見を撤回すべきです。
地方分権一括法が施行され、
地方分権社会を迎え、
地方自治体の自立が求められています。
地方分権社会の主人公は市民です。市民自治の実現が求められています。その動きとして、新潟県巻町における原発立地をめぐる
住民投票を初め、各地で自治体の将来に大きな影響を与える事案について
住民投票が実施されてきました。この流れは、
地方自治体による自治基本
条例制定の動きとしてあり、政策決定過程から市民が参画できる仕組みを模索しています。市民参画の大きな柱として
住民投票条例が位置づけられています。これらの自治基本条例では、市の将来に大きな影響を与える事業については、
住民投票を行い市民の声を政策に反映させるという考えが示されています。議会の結論と住民の意思が必ずしも一致しないこと、有権者は議員へ白紙委任をしているわけではないことを、制度的に補完して市民自治を実現させるために、
住民投票を自治基本条例として
条例制定するというものです。
昨日の質疑においても、制度的な議論が必要としつつも、
住民投票は
間接民主主義の補完的役割を果たすとしてその必要性を市長部局は認めています。しかし、人工島についてはこれまでの経緯がある、これまで事業が進んでいるのに、賛成、反対の二者択一では本当の意見が反映されない、などと答弁しています。この答弁は問題がありますが、市長の考えである、
自治都市と
住民投票は関係ない、ということとは相入れないものです。ともあれ、どのような事業でも、事業が進んでいても常に再検討が必要であり、必要があれば
計画変更をすることが当然行われるべきです。
山崎市長は人工島事業を市民の合意を得ないまま公約を破り、
計画変更してきました。
市民生活の将来に大きな影響を与える人工島事業であるから、直轄化がなされ、地震にあった今、冷静に将来について議論を行い、市民の意思を問い、政策に反映させることが必要であるのではないでしょうか。
そもそも人工島事業は、環境への影響は軽微である、税金は使わない、市民には迷惑をかけない、と言って事業を進めてきました。しかし、和白干潟を初め博多湾全体の環境悪化は目に余るものがあり、また、2002年の新
事業計画への変更、2005年の
博多港開発第2工区の直轄化と際限なく税金をつぎ込んでいます。
山崎市長は
市長選挙で、引き返す勇気を持って見直しをする、と公約したにもかかわらず、抜本的な見直しをしなかったばかりか、従来どおり事業を進め、破綻した
博多港開発の救済に際限なく税金をつぎ込むに至りました。このように、環境への影響、際限ない税金の投入、
土地利用計画の大幅変更、事業は大きく変更したにもかかわらず、市民に対する説明責任を果たさず、市民の意見も聞こうとしませんでした。
今回の人工島直轄化自体は、銀行でさえ将来の事業性がないことを示すものであり、人工島事業が破綻していることを物語っています。先日の
議案質疑においても明らかなように、国際経済の変化により物流は変化しており、
港湾施設をこれ以上拡張する必要性がないこと、既に住宅や土地は余っており、人工島に住宅建設する必要性がないこと、少子・高齢化、人口減少により将来土地需要はさらに少なくなること、新産業の集積についても、他都市の事例を見ても、福岡市内の事例を見ても展望がないことは明らかです。加えて今回の地震により、埋立地は液状化が起こり多大な被害が出ること、また、公共残土を多量に持ち込み、鉛や砒素などの有害物質が含まれているようなところに、
博多港開発救済のために病院を移転させる、住宅をつくる、小中学校を建設すること自体に問題があります。
福岡市の財政状態は今後とも極めて厳しい状況が続き、
むだ遣いは許されません。平成17年度予算においても、ごみ処理有料化、
下水道料金値上げ、市立高校の授業料値上げ、国民保険料の値上げ、公立保育園の民営化など市民に多大な負担を求めています。その一方で、市民が求めている図書館や児童館の建設、特別養護老人ホームの建設、学校司書の配置、小規模作業所の支援などには財政難を理由に拒否し続けています。さらに、今回の地震災害復旧に多大な費用を要する中で、これ以上人工島に税金をつぎ込むことが許されるでしょうか。このように
福岡市政に大きな影響を及ぼす人工島事業のあり方について、市民が
自分たちの意思を政策に反映させることを求めることは当然です。漠然と人工島は将来に必要ということでもって莫大な借金をつくり、市長以下、市の執行部も議会も誰も責任をとらない、すべて市民に、そして将来の世代にツケを回すことについて、責任がとれる仕組みをつくる必要があります。
市の将来に大きな影響を与える人工島事業については、すべての責任を負う市民にその意思を問い、市民の意思を政策決定に反映させる仕組みをつくらなければなりません。今回上程されている人工島
建設事業の継続について賛否を問う福岡市
住民投票条例案について、議会として可決することが議員の責務です。市民自治の
福岡市政にするために、すべての議員がこの議案に賛同することを求めて、賛成討論を終わります。
17 ◯議長(
川上義之) 金出公子議員。
18 ◯54番(金出公子)登壇 民主・市民クラブを代表して、本議会に提案されました議案第197号、人工島
建設事業の継続について賛否を問う福岡市
住民投票条例案について、反対する立場から討論に参加します。
今回の直接請求の意味は、
アイランドシティ整備事業の必要性、継続性について、議会で十分な議論がなされ、民意が反映されたのかどうかを問うものであります。
私たちは、第1に、
アイランドシティ整備事業の必要性のみならず、私たち会派が選択肢を提供した損得勘定論を初め、事業の継続性をめぐる市議会での長期にわたる、多角的で現実的な議論は手続の上からも、実体的にも深められたと理解しております。
第2に、政策に着目して、選挙では十分にあらわせない民意を反映させる
住民投票制度そのものの必要性は認識していますが、現行制度による
住民投票については民意反映の客観性や法的効力に課題なしとは言い切れない問題をはらんでおり、今後十分な議論による合意形成が必要であると考えます。
以上、2つの理由から本議案に賛成しがたいことを申し述べます。
しかしながら、私たち民主・市民クラブは、次の点を強調しておきたいと考えます。
第1に、
アイランドシティ整備事業については、今後も市議会の一員として随時検証し、新事業スキームの進捗状況を適切にチェックしていきます。
第2に、市民から直接選ばれた市長の市民に対する説明責任は常にあると理解しております。市長は市民の理解を得るために、今後一層の説明責任を果たされますよう強く求めるものであります。
第3に、既設の広島市を初め、川崎市や静岡市など幾つかの政令市では、有権者に占める直接
請求署名数の割合のあり方など、民意反映の根拠づくりや
住民投票に付すべき対象案件の選定など制度設計をめぐってさまざまな議論が交わされております。したがって、本市においても現行制度の欠点を踏まえて、民意の反映をはかる客観的な基準の設定など、
住民投票の制度設計について十分に議論を深める必要があると考えます。私たちは積極的に議論に参加し、その実現を目指していきます。
以上、民主・市民クラブの意見を添えて、私の討論を終わります。
19 ◯議長(
川上義之) 水城四郎議員。
20 ◯57番(水城四郎)登壇 私は、平成会を代表し、議案第197号、人工島
建設事業の継続について賛否を問う福岡市
住民投票条例案に反対し、討論を行います。
また、この場をかりまして、我が会派は人工島に関する具体的な政策を改めて述べたいと思います。
我が国の
地方自治制度の根幹は
代表民主制であり、住民の意思の反映手段として、住民の直接選挙を通じ選ばれた長や議会が中心的な役割を果たすことを前提としています。しかしながら、複雑化した現代社会においては、住民の多様なニーズをより適切に
地方公共団体の行政運営に反映させるため、
代表民主制を補完する意味で、直接民主制的な手法を導入するなど、さまざまな住民意思の把握手法が活用されているところであります。
具体的には、
市町村合併にかかわるような、まさに
地方公共団体の存立そのものにかかわる重要な問題とか、原発の立地の可否など、地域に限定された課題について
住民投票制度を導入した自治体もあるようですが、国の第26次
地方制度調査会答申でも、一般的な
住民投票制度化については成案を得るに至らず、引き続き慎重に検討することが必要であると述べられていることから、本来、市民の代表で構成される議会で審議し、議決を得てきた個別案件について
住民投票条例を制定することは、議会の権限との関係から慎重であるべきです。
アイランドシティ整備事業につきましては、10数年にわたり議会でさまざまな論議をかけ実施されているものであります。したがいまして、我が会派としましては、個別案件に当たる
条例制定には反対するものであります。
我が会派は、人工島事業の意義について、本市経済の発展の観点から、物流拠点としての重要性について過去具体的に政策を述べてまいりました。
まず、本市博多港は日本全国13政令指定都市の中で唯一日本海に面し、アジアに向けて港を有する特別な立地であります。東京を中心に置き、半径1,000キロの人口は約1億人です。福岡を中心に置くと半径1,000キロの人口は東アジアを含み約4億人です。この市場をターゲットに物流拠点都市を目指すことが福岡市の経済発展につながることを確信しております。このことは大陸との国際交流の基地であった鴻臚館に代表されるように、2000年にわたるアジアとの深いつながりの中で成長してきた都市であり、本市の原点が
港づくりにあることは本市の歴史からもうかがえます。